第164回直木賞選考委員の作家・北方謙三氏が20日、同賞の講評を行い、ノミネート作であるNEWS・加藤シゲアキの『オルタネート』について「とっても惜しかった」と述べた。
選考では、最初の投票で加藤の『オルタネート』、西條奈加氏の『心淋し川』、伊与原新氏の『八月の銀の雪』、坂上泉氏の『インビジブル』の4作が残り、最終投票で『心淋し川』が受賞した。
北方氏は、加藤の作品について「個人的には非常に推したんですよ。青春小説として非常によく書けていると思いました」と高く評価。
決選投票になる前に「加藤シゲアキを直木賞に受賞させようというような機運を作ろうという意思が選考委員の中に2~3あって、私もその1人でしたけれど、やっぱりこれはもう1作くらい待ってみようということでした。とっても惜しかったと思います」と経緯を明かした。
さらに、「なんとしても加藤シゲアキを入れてくれと、私は頼んだところもありました。加藤シゲアキの作品で何が足りなかったかというのは、明確に指摘できるような欠点というのはないんです」とした上で、「人がちょっと平凡だったとか、描写がちょっとベタ塗りだというのがあるんですけど、途中からどんどんどんどん人物が交錯してきて、しかもそういう人物が最終的にはいろんな帰結を見て、破綻がどこにもない」と改めて評価した。
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