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中東、シリアの内戦がはじまって今週で10年、混乱はおさまりませんが、ある伝統の特産品がシリアと日本を繋ぎ続けています。 死者38万人以上、難民560万人を超えたシリア内戦。 何もかもが失われ、爆撃の煙が漂う激戦地・アレッポに、1つの工場がありました。空が見える屋根、穴のあいた貯蔵タンク。ここでは、独特の香りを漂わせるある特産品が作られていたのです。 そのアレッポの特産品が東京でも売られています。「せっけん」です。オリーブオイルや月桂樹のオイルでできていて、添加物は不使用。肌や環境に優しいとされています。実はこのせっけんには、シリアと日本をつなぐ2人の思いが込められています。 「たくさんの、たくさんの苦難がありました」 破壊されたせっけん工場のオーナー、ファンサさんです。 ファンサさんのせっけんは、300年ほど前から家族で代々受け継いできた伝統品。熟成に1年以上をかけ、一つ一つ丁寧に仕上げられます。 ところが、内戦でせっけんを作ることができなくなってしまいました。ファンサさんは「自分の一部を失ったようだった」と振り返ります。 「工場を元どおりにするのは不可能だと思いました」(『アデル・ファンサ社』オーナー タラール・ファンサさん) そんなファンサさんの姿を見続けてきた日本人がいます。 「シリアでは大変お世話になりました。あなたと過ごせた時間は楽しく幸せでした」(太田さん) 「私たちは一つの家族のようです」(ファンサさん) 太田さんは、ファンサさんのせっけんを輸入・販売しています。 「せっけんを作るために、全力で頑張っている姿がすごく印象的でしたね」(『アレッポの石鹸』代表 太田昌興さん) ファンサさんは工場を失いながらも希望を失わずにせっけんを作り続け、太田さんに送り続けました。そして、おととし、破壊されたアレッポの工場の再建を始め・・・先月、試運転に成功したのです。アレッポでの製造はおよそ9年ぶりです。 「再建、そして試運転ができてとてもうれしく思います」(『アデル・ファンサ社』オーナー タラール・ファンサさん) 「彼らがまた元の生活に戻れるような環境になっていけたらいいな。その第一歩なのかなと思います」(『アレッポの石鹸』代表 太田昌興さん) 10年間、悲惨な内戦を見てきたファンサさんのせっけん。愛用している人も多くいます。 「すごくしっとりします。日本との架け橋になるものかなと思って、そういうのも気に入って」(せっけんを愛用 中野岳春さん) 「僕らは別に支援というわけではなくて、内戦の前からいいものとして売ってきている。彼らも、日本人が喜んで買ってくれているというので、キラキラしているんですよね」(『アレッポの石鹸』代表 太田昌興さん) 新たな一歩を踏み出したせっけんは、シリアと日本をこれからも結びつづけます。(18日15:34)
March 19, 2021 at 01:00PM
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