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石鹸みたいな「固形シャンプー」に注目…製造時に節水・脱プラ ... - 読売新聞オンライン

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 見た目は 石鹸せっけん のような固形のシャンプーに注目が集まっている。容器にプラスチックを使わないなど、髪も地球もいたわる発想がSDGs(持続可能な開発目標)の理念に合致するとして、海外でヒット。国内でも輸入品が流通し、ここ数年で老舗メーカーも製造を始め、消費者や企業に環境配慮の意識が浸透しつつある。(二谷小百合)

 牛乳石鹸共進社(大阪市)が6月に発売した「madoca(マドカ)」(税込み1980円)は液体シャンプーとほぼ変わらない成分。ぬらした髪に直接数回塗り広げ、手で泡立てて洗う。置き場所を取らず、1個で液体の詰め替え用1・5袋分の量に相当するという。コンディショナーも同じ要領で塗り広げ、全体になじませた後ですすぐ。

 SDGsに対応した製品を目指し、丸い形状にもこだわって、約3年がかりで開発。液体製品よりも水分量を80%カットでき、製造時の大幅な節水を実現した。包装の箱には食用に適さなくなった米を活用した紙を使い、リサイクルできる。ECサイト(電子商取引サイト)での先行販売は初日に品切れとなる上々の滑り出しだった。企画担当の松元裕貴さん(37)は「環境に配慮したくらしに踏み出したい方に使ってもらいたい」と話す。

 創業118年の老舗化粧品メーカー、マックス(大阪府八尾市)が2年前に一般発売した「 The   BARバー 」(同1650円)も消費者の関心を集め、今年5月末時点で累計21万5000個を販売した。

 小型で輸送のコストや環境負荷が抑えられ、水分が少ないので防腐剤を減らせる利点もある。クラウドファンディングで初回製造分の購入者を募ったところ、目標額30万円に対し、300万円が寄せられた。

 「簡易包装、脱プラにとても共感できる」「毎日使うものだから、できるだけ環境に配慮したものを使いたい」――。そんな声が届き、社長の大野範子さん(50)は「期待の高さを感じた」と振り返る。

 きっかけは2019年の欧州の市場視察。紙箱入りの固形シャンプーが当たり前のように店頭に並ぶなど「環境への配慮がくらしのあらゆる場面に見受けられ、驚いた」という。同年に地元で開催された「G20大阪サミット」でプラごみによる海洋汚染が議論されたこともあり、開発に挑んだ。

 洗髪剤の歴史は液体より粉状や固形が古い。「花王ミュージアム」(東京)の佐藤直紀さんによれば、大正時代から昭和初期には石鹸などを配合した「髪洗い粉」が出回った。シャンプーが日常語になるきっかけとなった1932年発売の「花王シャンプー」は削って使う固形製品だった。

 内風呂が家庭に普及した60年代に入り、泡立てやすい液体シャンプーが登場すると、市場を席巻。半世紀以上、多くの人に愛用されている。

 固形が再び着目されたのは2010年代後半。SDGsへの意識の高まりを受け、16年に「プラスチック不使用」を掲げたニュージーランドの企業の商品が欧米などで人気を集め、海外メーカーも追随した。美容ジャーナリストの伊熊奈美さんは「欧米では消費者の意識が高く、企業も社会的責任として環境に配慮した商品を展開する。品質が向上し、髪がきしみにくいなど使い心地が良くなったことも人気の背景にある」と解説する。

 ただ液体製品が主流の国内では固形の使い方を含め、一般にはなじみが薄く、ネット販売が中心で、店頭で扱う小売店も少ない。

 東京都市大名誉教授(環境経営学)の中原秀樹さんは、環境や社会に配慮した商品やサービスを選び、事業者を応援する消費行動「エシカル消費」が広がる現状にふれ、「エシカルな商品の優位性が市場で明確になれば、より多くの企業や店舗が対応を迫られるだろう」と指摘する。

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September 13, 2023 at 04:00AM
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