26歳にして、美容皮膚科プロデューサーとして都内でクリニックを立ち上げたみるくナースさん。家族から愛情いっぱいに育てられ、医師を目指して私立中高一貫校に通っていた彼女は、地元にいた中高時代まで自分の顔に悩むことはなかったという。そんな“恵まれた”彼女は、上京後、SNSをきっかけに二重整形をすることに。その後も整形を重ね、総額300万円をかけても「自己肯定感は下がる一方」だという彼女だが、それでも美しくなること、経営者として成長することをあきらめない。何が彼女をそこまで駆り立てるのか、話を聞いた。
【画像】みるくナース「二重整形は化粧感覚」、整形前から総額300万円かけた現在までビフォーアフター一挙公開
■地元にいたころは自分を可愛いと思っていたのに ネットアンチからのいやがらせに整形を決意
――そもそもみるくナースさんが整形に踏み切ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
みるくナース もともとアイドルが好きだったんです。小さい頃から、看護師と同じくらいアイドルになりたかった。でも、オーディション受けても落ち続けて。そこで受かっている可愛い子を見て、二重になりたいと思うようになりました。その当時は漠然と「なりたいなあ」って。
「自分の顔が嫌だ」と明確に思ったのは、上京してからでした。中高時代はむしろ自分の顔を可愛いと思っていたんです。
――上京したことで何があったのでしょうか。
みるくナース 高校卒業後、看護専門学校に入学しました。クラスには、つけまつげやカラコンは当たり前のギャルみたいな、今まで関わることがなかったタイプの子が多くて「あ、私ってダサい、遅れてるのかも」と思うようになりました。地元では「可愛い」と言われていた自分の顔が急に嫌になってしまったんです。
ちょうどその頃、Twitterをはじめました。当時のフォロワーは800人くらいでした。最初はくだらないことばかりつぶやいていたけど、あるとき、ポートレートモデルをしないかと声をかけられたんです。嬉しくてネットにのせたら、知らない人から「ブス」とか悪口が来るようになって。そこから自分ってブスなんだと思うようになっていき、20歳の時、二重整形をしました。
――二重にして変わったことはありました?
みるくナース そのときは自信が持てるようになりました。当時恋人はいたけど、何も言われなかったですね。二重の時は普通に化粧感覚って感じで、親も気づかないくらいでした。
■勤務先まで特定、整形を重ねるたびにエスカレートするSNSアンチの嫌がらせ
――二重整形で自身の顔に満足したわけではなかった?
みるくナース 看護師になってからみんなで写真を撮った時、自分より可愛い子を見て「何が違うの? 私も可愛いはずなのに…」と思い始めたんです。当時すでに私はTwitterで整形アカウントを作っていて情報収集していました。そこで自分と同じような団子鼻が整形できれいになっているのを見て看護師になって2年目のボーナスで渡韓し整形しました。
――当時Twitterの悪質なアンチによるいやがらせが勤務先にまで及んだそうですが。
みるくナース リアルアカウントでしか顔出ししていなかったんですけど、整形アカの方が特定され、掲示板にさらされました。勤務先や本名以外にも風俗で働いているとか、あることないことまで書かれました。それで、迷惑をかけられないと思い、病院を辞めました。
そんなことがあっても、SNSをやめようとは思いませんでした。今の友達の9割の子がSNSからだし、SNSをなくすと友達の作り方も交流の仕方が分からないんです。アンチはうざかったけど、そこでみんなと絡むことはやめたくありませんでした。
――アンチからの中傷に屈さず、整形をSNSで公表しようと思ったのはなぜでしょうか。
みるくナース 嫌がらせは整形と紐づけていなかったんです。バレてもいいと思っていたし。顔をがっつり出したのはここ1年なんですけど、整形したということ自体は何も悪くないでしょって思っていました。
■「可愛くなるために整形という努力した自分はすごいなって思うけど、ただそれだけ」
――病院勤務から美容クリニックを経て現在は美容皮膚科クリニック経営をされています。
みるくナース ずっと、クリニックプロデュースしたいとは思っていて、Twitterで「プロデュースしたい」とつぶやいたらそれを見た知り合いの経営者の方から声をかけてもらい現在に至ります。
私、カウンセリングが好きなんです。人の心に寄り添いたいから、看護師を目指したし。患者さんと関わるのは楽しいので今も現場に出ています。「Twitterで見てるよ!」や「好き」と言ってくれる方がたくさんいて嬉しいです。私を指名までしてくれる方は、SNSをすみからすみまでチェックしていて人間性を好きになってくれる方が多く、それが自信になります。
――整形で得たものは何でしたか?
みるくナース 環境かな。整形していなかったら、今の仕事に就いてなかったと思います。でも一方で整形によって自己肯定感はどんどん低くなっています。整形を重ねるたびにやりたいことが増えていってしまうんです。カウンセリングに行った時に指摘された部分を鏡で見て気づいてしまったら最後、輪郭も、おでこも、左右差がある場所とか全部気になってしまう。今でもやりたいところがたくさんあるし、気に入ってるのは唇くらい。仕事の休みがもらえるなら、鼻は全部やり直したいし。整形することに慣れちゃってるから不安もないし、貯金もあるからやらない理由がないんです。
――現時点での自分の顔の満足度は?
みるくナース 20点くらい。この顔だから死ぬとは思わないけど…という程度です。フォロワーが増えたって、可愛いって言われたって変わらない。客観的に見て、私より可愛い顔の人はたくさんいるし。自分の世界での自分は、いつだってビリ。自撮りで加工した後の顔になりたいって常に思ってます。
――整形を経て、今幸せですか?
みるくナース 不幸だとは思わないけど、自分の中の幸せには遠いです。満足いかないところがあると、自分は幸せじゃないから、一生幸せにならない気がする。自己肯定感にも波があるので、局所的なネガティブは直らないですね。自分のことはしょっちゅう「クソだな」と思ってます。もうそういう人間なんだと思うしかない。「なんで自分はこんなんなんだろう」がベースで、自己肯定感が上がることの方が少ないです。
可愛くなるために整形という努力した自分はすごいなって思うけど、ただそれだけ。整形が私を幸せにすることはないと思います。整形した後すぐは一時的に自己肯定感が上がるけど、その瞬間だけ。整形はもう、趣味みたいなもんですね。自己肯定感を上げるのは、経験や資産とか。20代のうちに資産運用をしっかりしていきたいなと思っています。
整形を繰り返すことに不安はないです。炎症にビビってたら何もできないから。普通に生きてるだけでも交通事故に遭うこともあるんだから、リスクはつきものというのは前提です。後悔していることもあるけど、自己責任だと思っています。
――そういった中で、もっとがんばろうと思えるモチベーションは?
みるくナース とにかく、強くなりたいから。自分という人間に自信がないから。数字として出るものしか自信になっていかないんです。フォロワー数、クリニックの展開数、総資産額、様々な経験値……。誰が見てもすごいと思うことで自分をかためないと、きつい。顔の美醜は人によって価値観が変わるから、あまり評価の材料にしたくないです。
あとは目に見えて分かる学歴にコンプレックスがあったことも大きかったです。国立大学に落ちて専門学校へ入学したことは当時の私にとって不本意なことでした。整形前は、外見より学歴コンプレックスの方がひどかったかもしれない。
そういうこともあって、これ以上窮屈に生きなくていいための手段を増やしたかった。それが私にとって資産運用と整形や資格取得を含む自己投資でした。
――今後、「みるくナース」としてどんなことを人々に伝えていきたいですか?
みるくナース 美容医療をもっと身近にしたいなと考えています。クリニックのコンセプトでもある性別、年齢によってハードルを感じないような取り組みをしていきたい。偏見や差別が嫌いなんですけど、世の中にはそういう人も多いから、美容医療を通してなくしていきたいです。 そのためにもメディアにもっと出ていきたいです。今年はテレビに出たい。クリニックの運営と看護師としての業務は続けていきつつ、いつか仕事の一つとしてコメンテーターに挑戦したいです。写真だけじゃなく、メディアを通してもっと「みるくナース」を知ってもらえたらなと思っています。
(取材・文/ミクニシオリ)
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